全身への影響を考える
日常の生活で、歯肉出血を訴える方がいます。歯周疾患(歯周病)患者では、
ブラッシングのたびに歯肉出血を生じることがあります。
歯肉出血の原因・誘因は出血性素因や血液疾患を伴って歯肉出血を生じることがあります。
歯肉出血を伴う疾患としては、血小板減少性紫斑病、血友病、白血病などがありますが、
現病歴や症状、所見が異なることが多くみられます。
また、肝疾患や糖尿病など合併していると、軽度の歯周炎でも歯肉出血を起こすことがあります。
患者さんの中には、脳血管障害や心疾患のため、抗凝血薬や、
血を止める効果のある薬を服用していることも考えられます。
このような場合は、安易に抜歯を行うと止血困難になるので注意が必要です。
また、全身疾患を持っている患者さんの場合は、全身の状態の把握、対応が求められます。
疾患によっては不快な症状を伴うことが多く、病変の進行とともに症状は重たくなります。
全身症状を合併することや、呼吸困難、口腔出血など緊急を要する場合もあり
重篤な状態に至ることも認識しておく必要があります。
歯、口腔疾患患者に対して、医療者は、症状、症候、疾患との関連、
症状と患者さんの苦痛、全身への影響を十分に理解把握して対応することが大切です。