患者さんと疾患の関係
歯科の疾患は多岐にわたっていますが、乳幼児から高齢者に至るまで
幅広い年齢層で、異なる内容、程度を有し歯科疾患に罹患して来院されます。
齲蝕(むし歯)や歯周病は、患者さん側で“軽い疾患”と受けとめられるケースが多く、
痛みや出血といった症状が現われるまで放置される傾向が否めません。
患者さんと疾患には、現在様々な局面が存在しています。
身体的な側面
1.加齢による変化
人は加齢とともに体力をはじめとして、体の器官も機能低下していきます。
そして、口腔内でも機能低下がみられてきます。一例を挙げると、唾液量の減少です。
唾液は消化液として、食物を食道に届けています。自浄作用もあり、口腔内の炎症を抑えたり、細菌の増殖を抑えたり、口臭を抑えるなどの機能も持ち合わせています。この機能が加齢とともに低下すると、
口腔内が乾燥し、角質化、炎症、口腔内粘膜の欠損などの症状が出やすくなり、歯周病の悪化原因となります。また、嚥下機能も低下し、固い食物や粘度の高いものから、粘度の低すぎるものもスムーズに食道へ届けられなくなります。
2.体全体との関係
口腔内の症状が全身疾患に関与している場合があります。よくみられるのが、粘膜のびらん・潰瘍や歯肉からの出血で、白血球、血友病などが考えられます。また、齲蝕(むし歯)や歯周病が全身疾患をに影響を与えることは知られています。心疾患には、口腔内細菌が影響を及ぼすことから、心臓手術の前に歯科治療を済ませておくことが通例となっています。
3.疾患が引き起こす機能障害
摂食・嚥下障害
口腔内の疾患は、口から食物を摂取できるかということを常に考える必要があります。
例えば、齲蝕や口内炎の痛みで咀嚼障害が発生することもあります。顎関節に障害が起こると
口が開きにくくなります(開口障害)。舌に疾患があると舌運動が抑制されて、食べ物が飲み込みにくい状態になります(嚥下障害)。
言語障害
私たちが社会生活を営む上で、会話をすることは重要な手段です。先天性、後天性問わず、言葉を発する機能障害は、社会活動はもとより精神活動にも影響を及ぼすことが懸念されます。
呼吸障害
口腔は消化管の一部であると同時に、呼吸を気道器官の一部も担っています。
口腔内の疾患は呼吸にも影響を及ぼします。
心理的・社会的側面
口腔は顔も一部です。顔の筋肉の動きで表情が作られます。近年、エルム駅前歯科でも
インプラントを希望や、大人の矯正歯科治療(例えば、インビザライン)が増加傾向にあります。
口元が整っていること(審美性)に高い関心が寄せられています。
自分自身の「見た目」に対する満足感、安心感など、
社会的な生活を営む上でも必要と感じている方が多くなってきています。